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制作者と視聴者の距離感が縮まってきている

2024/05/27

動画制作人口が増加している

オーディションが支持される背景には、動画の制作者と視聴者の距離感が縮まっていることも影響していると思います。高度な技術や機材がなければ動画制作ができない頃の制作者と視聴者の距離は非常に遠かったのですが、現代は安価あるいは無料の動画制作ソリューションが出てきたことで、高度なスキルや知識を習得しなくても動画が制作できるようになりましたよね。

今までは趣味で動画をつくっても家族や友人・知人に見せるか、何かのコンテストなどに応募・投稿するくらいしか見せる場がありませんでしたが、YouTubeや各種SNSなどの登場によってアマチュアがつくる動画をめにする機会が一気に増えました。

今制作者と視聴者の距離はとても近づいています。視聴者はいつでも制作者になることができますが、高度な編集・演出。構成の技術はありませんよね。

テクニカルなクオリティは高くありませんが、むしろプロが持っている当たり前、様式、ルールから外れた、全く新しい表現が次々と生まれます商品のパッケージを開けてひたすらレビューするといった動画や音楽に合わせて口パクするだけの動画が、テレビ中心の世界で見ることができるでしょうか?多くの人に受け入れられ、再生されたでしょうか?

次々と生まれる表現には、「その発想はなかった」「それしかできなかったから」といったものから「そんなものはマスのニーズにはなかったのでスポンサーもつかず撮影しても仕方なかった」など様々でしょう。

これまで、限られた人にしか制作できなかった動画の制作人口が増え、限られた人の間で信じられていた表現以外のテクニカルなクオリティは高くなくても、視聴者の琴線に触れたり課題を解決したりする動画を目にするプラットフォームが増えました。これも、必ずしもテクニカルなクオリティの高い動画が再生されず、クオリティは低くても再生され、視聴者の行動を促す動画が出ていることに影響しているのでしょう。


オーセンティシティは意図的につくれるのか

オーセンティシティは定量的に測ることが難しく、どのような要素が入っていれば、または入っていなければオーセンティシティがあると言えるのかを説明・体感するのが難しい概念です。素人が作った動画なら何でもいいかというとそうではありませんよね。

そこでおすすめしたい考え方は、メーカー視点とユーザー視点の2つをもって動画に向き合うことではないでしょうか。一般的にメーカーが制作する動画は、開発した製品のスペック情報を伝えがちです。従来製品に比べ、速度や回転数、燃費などが何%アップしたとか、何グラム軽くなったとか、充電時間が何時間長くなったといった情報、また売上の最大化を図るため、Aさんのこんなニーズにも、Bさんのあんなニーズにもというふうに、出来るだけ購入者層を広く撮って制作します。スペック的な情報と多くの人に通用するような内容の動画は、一人ひとりの生活者との距離が遠くなってしまいがちです。

しかし、私たちが何か製品を購入するとき、メーカーから直接購入よりも、卸売りを介し、小売店で購入することの方が多いでしょう。この生活者に近い存在の視点いオーセンティシティのヒントがあるのです。

小売店・販売店は、メーカーに比べて生活者の属性を練り込むことができます。同じ商品でも、あるスーパーに多いシニア層を対象にするものと、専門メディアの読者層を対象にするものとでは、訴えるべき動画化価値がかわってきますよね。「大勢のあなた」ではなく、「目の前のあなた」に向けて制作した動画にはオーセンティシティが生まれやすくなる。

パーソナルかつ動画化価値の高い情報を、与えられた環境と手持ちの素材で制作することが、視聴者の共感を生み、行動を促すオーセンティシティのある動画になるでしょう。

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