情報の「図」と「地」で価値を絞り込もう
情報の図と地とは
複数出た動画化価値から1つを選び取り、よりその情報が期待する効果を取られるよう表現するときに役立つ考え方に情報の図と地がある。あるものが他の物を背景として全体の中から浮き上がって明瞭に知覚されるとき、浮き上がるものを図といい、背景に退くものを地という。
物を情報に置き換えると、地は情報の背景や文脈、図が背景や文脈によって変わる意味と捉えることができる。地が分母で図が分子というイメージでもいいでしょう。
背景や文脈によって情報の意味が変わるということは、ある製品・サービスの特徴が、その製品を使う人や使用するシチュエーションによって感じる価値が変わることを意味する。例えば企業でITシステムを使用する人のリテラシーによっても、そのシステムを単独だ試用するのか、他のシステムと連携させて試用するのかによっても、”使い勝手の良さ”の意味や価値はかわりますよね。価格の安さという情報も、予算を多く持つ部門と少ない部門とでは意味が変わりますし、システムを利用する部署の責任者が感じる価格と、会社全体のコストを見ている責任者が感じる価格とでは、感じ方が異なります。
視聴者との関係性を把握しよう
関係性と文脈でコストもかわります。視聴者との関係性や文脈は動画の内容やクオリティに大きな影響をあたえます。視聴者との関係性とは、自社や自社製品と視聴者との間でどのようなコミュニケーションを取り、いまどんな状態にあるかを指します。広告を見たことがある、ホームページを見たことがある、資料請求や問い合わせをしたことがある、メルマガを取っている、営業社員や店員と会話をしたことがある、製品を購入したことがあるなど、関係性はいろいろな行動によって築かれる。文脈とは、視聴者が動画を視聴する際の状況やその背景・目的、視聴前後で起こるさまざまな出来事のつながりを指す。この関係性と文脈が、どのように動画の制作コストやクオリティに影響を与えるのかを考えるためのバロメーターをしっかりと考えましょう。
関係性と動かす心の幅とは
視聴者との関係性と動画で動かす心の幅の関係も文脈と同様になります。視聴者との関係性が近ければ、動かさなければいけない心の幅は小さく、関係性が遠ければ心の幅が大きくなる。自社製品のこと、新商品の事をまったく知らない視聴者は、自社との関係性がもっとも遠いことになります。
製品い興味をもって製品詳細ページを閲覧したり、製品の資料請求をしたり、メールマガジンの購読や自社のSNSアカウントやYouTubeチャンネルをフォロー・登録してくれていたら、視聴者との関係性はとても近くなっていますよね。インサイドセールスや営業社員、お客様窓口担当者と電話やビデオ、あるいは対面で会話していれば、さらに近づいていることになります。
関係性が遠いときは、自分たちの存在に気付いてもらうために、派手な演出を施した動画を制作したりします。しかし、メール送信の許可を得ている人に贈る製品紹介動画やSNSのフォロワーに届けるお役立ち動画、見込客への製品プレゼン動画など、関係性が近くなっている視聴者に見せる動画は、「すごい」「なんだこれは」と思わせる必要はないでしょう。「そうなんだ」「なるほど」といった感想で十分だと思います。
動画を企画・制作・発注するときは、目的と視聴者との関係性や文脈から、必要にして十分なクオリティの基準を持つ必要があるでしょう。
文脈づくりはマーケターの腕の見せどころです。自分たちの製品が最終的に購入されたり、資料請求されたりするといった目標を実現するために文脈をつくり、その手段の1つとして動画を使用するわけですから、動画の事だけを考えていてはダメで、その動画がどういう文脈で視聴されるのかという観点から動画を企画・作成しましょう。