動画に対する固定概念とは
さまざまな要素が絡み合っています
動画をめぐる「クオリティは高くなければならない」「動画は多くの情報を伝えられる」といった固定概念は、動画制作コストを高くし、視聴者に影響を与える動画を制作できない原因です。動画の特徴やコスト構造など基本的な知識と動画化価値などの考え方、成果の出る動画のあり方をおさえましょう。
動画をめぐるクオリティの考え方、動画の歴史とは
動画に対して、なぜクオリティが高くなければいけないと思ってしまうのか。1895年にフランスのリュミエール兄弟が料金を取って映像作品を上映して以来、20世紀はハリウッド映画が隆盛を極め、映画製作には撮影、照明、音響機材や衣装などの小道具、屋内外のセット、それらを使用・制作するスタッフ、俳優など、多くの人やモノが関わってきます。これら多大なコストを回収するために、全国各地に映画館や映写機が配置されています。これは動画の主戦場が映画からテレビに映っても変わりません。テレビを放送するための設備投資は莫大で、容易に参入できるものではありません。
また、動画の撮影・編集・放送を行うために使用する機材の操作には、専門的な教育や訓練が必要で、機材自体も高価なため、一般人が手に入れることは難しいものでした。限られた人々は技能を磨き、専門性を深めることによって、必然的に動画のクオリティはあがっていきました。こうした経緯で制作され、世に出てきた動画しか、私たちは目にしてきませんでしたが、テクノロジーの進化とともに、安価でビデオカメラや編集ソフトが手に入り、特別な訓練をしなくても動画の制作・編集に携われるようになりました。ですが、プロとの技術や知識の差は大きいものと言えるでしょう。
2005年にYouTubeが誕生して以来、私たちは多くの一般人が制作・編集してきた動画を目にしてきましたが、プロの動画の歴史とは役100年の隔たりがあり、この間、映画、テレビCMなど、動画の種類や尺が多様になりました。さまざまな番組の間に流されるテレビCMでは、短い尺で視聴者の目を引き付ける多様な技法が使われています。プロの動画を毎日のように見てきた私たちは、自らが動画を制作する際にもクオリティが高くなければいけないと思ってしまうのは仕方のないことかもしれませんね。
多様化する動画の活用目的とは
長くテレビを中心に使われてきた企業の動画の目的は、新商品・新サービスの認知獲得や販売促進です。まだ製品の事を知らない視聴者の記憶に情報を植え付けるには、相当のクリエイティブと量が必要です。何度見られても飽きの来ない動画のクオリティは、特に一般公開するものであれば、高くなくてはならないという考えになってしまいます。企業の会社紹介ムービーや採用動画、展示会などの企業ブースにあるモニターで流れる製品紹介動画など、非常にコストをかけていると思われる動画がよくありますよね。
しかし、現在動画が使われる目的は認知獲得や販売促進に加えて、見込客の育成、営業効率化、顧客満足度向上、顧客離脱防止、採用促進、SEO向上、SNSエンゲージメント向上など実にさまざまになっています。これらの動画活用の目的のうち、セールス・マーケティングでは発見と遭遇・情報収集と検索・学習・試用と問合せ・商談と検討・購入と利用・習熟と問題解決・愛着など、マーケティングのプロセスと動画の重要要素の関係は様々なプロセスがあり、動画の重要要素である制作本数・視聴者母数・予算・制作頻度はプロセスに応じて変わっていきます。このように多様化する動画の活用目的知り、動画活用の基本的な知識と考えを常に念頭に置いて、動画の制作に取り掛かりましょう。