自社はどのような環境にあるのかを確認しよう
動画活用の戦略を描く
企業文化やこれまで築き上げてきた会社におかるその企業らしさも動画の内容に影響を与えることでしょう。目的にもよりますが、視聴者や社員が企業に抱いているイメージと著しく乖離している場合、制作した動画は期待したような効果を出すことはないでしょう。また、医療や製薬といった厳しい表記・表現のルールがある業界は、表現方法の制約があります。ルールに反したり抵触したりする表現をしてしまったりすると、動画を制作し直すといった費用の無駄遣いが起きます。
企業文化やルールは障害になることがあります。もしタイムリーかつスピーディーに動画を制作することが「つくる」のあるべき状態であっても、動画に求めるクオリティが高く、細部にまでこだわって、厳正な審査が必要となる文化やルールが存在する場合、つくるのあるべき状態や手段を選択するときの制約となるのです。
競合他社がどのような動画をつくっているのかも見逃してはいけません。同じ製品を扱う商社や小売店であれば、他社を上回るクオリティか、クオリティは高くなくとも視聴者のツボを押さえた内容にするかといった工夫は必要です。メーカーが販社向けに販促用動画を制作・提供することもありますが、競合他社と同じ動画を制作すべきです。もし競合他社よりも模範や営業力が劣っているならば、同じ武器を同じように使用していては競り勝つことはできないでしょう。
これらの要素は複雑に絡んでおり、武器にもなれば制約にもなり、手段の選択に影響がでてきます。視聴者が自社製品の事を全く知らない場合、視聴者がハッとするような強烈な印象や気づきを与える必要がありますが、そうした企画を考えられる人材とお金・時間の有無が制作方法にも動画を配信する媒体選びにも影響が出てきます。
手段の選択に影響を与える要素は複雑である
動画化する対象が持つ情報は、視聴者の属性や状況によって意味が変わってきます。同じ製品であっても、作り手を重視する視聴者もいれば、機能、価格を重視する視聴者もいることでしょう。お金と時間があれば全ての視聴者を対象に、製品の情報全てを動画化できますが、そうではない場合は動画化する情報を選択しなければならないでしょう。
いま、自分たちが何をもち、なにをもっていないのか?誰にどんな物事のどんな情報を伝えるのか?自分たちを取り巻く環境や文化はどうなっているのか?といった要素を把握しておくことが重要です。
動画は創造性やクリエイティブなセンスがなければ制作できないと思われていますが、ユニークな企画、目を奪われる編集といった作業は確かに創造性を求められるかもしれません。しかし目的に対して、所与の条件や置かれた環境からあるべき状態を定義し、数多の選択肢から自分自身にとって最適な手段を選択することにも創造性を求められるでしょう。
動画戦略図で全体を可視化してみよう
動画戦略図とは、目的と成功の定義、動画活用に必要な「つくる」「とどける」「まわす」の3つのあるべき状態、圧べき序歌を実現する多様な手段のこと。これら武器にも制約にもなる諸要素を1枚にまとめて可視化、構造化し書いてみよう。動画戦略図を描く時のポイントは、いきなり完成版を仕上げようとするのではなく、3つのあるべき状態とその手段、そして影響を与える要素を思いつく限り書き出すようにしましょう。成功の定義を表現するために持っている武器を駆使して、自社の状況に適した手段を選択し、矛盾のない整合性のとれた戦略を立てていくことが大切です。
手段の選択に影響を与える要素とは、人・お金・時間・所有するもの・動画化対象・視聴者・環境、文化・競合など。さらにそこから、制作する動画の内容→つくるのあるべき状態、動画をおく場所、見る媒体→とどけるのあるべき状態、運用のための手段、施策→まわすあるべき状態。このように1つずつ確認し可視化していきましょう。